【2022年】住宅ローン控除期間が原則13年に延長!改正ポイントを解説
- 2022.5.312023.12.26
- お金のことがwakaru
2021年12月に公表された「令和4年度税制改正大綱」により、住宅・土地に関する税制措置が大きく改正されました。中でも注目を集めている改正ポイントが、住宅ローン控除の期間延長や控除率の変更です。
住宅購入を考えていて、住宅ローン控除の税制改正でどのような影響があるかを知りたい人は多いでしょう。
当記事では、住宅ローン控除にかかわる改正ポイントを中心に解説し、住宅ローン控除期間や控除率の変更による影響も紹介します。
- 1.2022年度の税制改正により住宅ローンの控除期間が「原則13年」に
- 2.住宅ローンの控除期間だけではない!その他の改正ポイントを徹底解説
- 2-1.(1)住宅ローン減税制度の期間延長
- 2-2.(2)住宅ローン控除率の引き下げ
- 2-3.(3)借入上限額の引き下げ
- 2-4.(4)利用者の所得要件の引き下げ
- 2-5.(5)新築住宅の床面積要件の緩和
- 2-6.(6)中古住宅の築年数要件の緩和
- 3.新築住宅・中古住宅による住宅ローン控除額の違い
- まとめ
1.2022年度の税制改正により住宅ローンの控除期間が「原則13年」に
2022年度の税制改正により、住宅ローン控除の控除期間が原則13年に延長されました。
2021年にも住宅ローン控除の控除期間が13年となる措置はあったものの、あくまでも特例という扱いでした。2022年度の税制改正によって、「特例」であった13年間の控除期間が「原則」に切り替わったことになります。
ただし原則とあるように、住宅を購入する全てのケースで、住宅ローン控除の控除期間が13年間となるわけではありません。
原則13年の控除期間が与えられるケースは「新築住宅・買取再販」の住宅を購入した場合です。「中古住宅」では控除期間が10年となります。また、「新築住宅・買取再販」の住宅であっても、住宅の条件や入居年によっては原則13年の控除期間が適用されないケースもある点に注意してください。
そもそも「新築住宅・買取再販」の住宅とは、国土交通省が公表する「令和4年度 国土交通省税制改正概要」において示されている、下記の4種類のことです。
- 認定住宅(長期優良住宅、低炭素住宅)
- ZEH水準省エネ住宅
- 省エネ基準適合住宅
- その他の住宅
出典:国土交通省「令和4年度 国土交通省税制改正概要」
上記4種類の中で「その他の住宅」では、入居年が2024年・2025年の場合、住宅ローン控除の控除期間が10年となります。
2.住宅ローンの控除期間だけではない!その他の改正ポイントを徹底解説
2022年度の税制改正では、控除期間以外にも住宅ローン控除のさまざまな変更が行われました。2022年度以降に住宅購入を検討している人は、その他の改正ポイントについても把握しておきましょう。
住宅ローン控除にかかわる6つの改正ポイントを詳しく解説します。
出典:国土交通省「令和4年度 国土交通省税制改正概要」
2-1.(1)住宅ローン減税制度の期間延長
一般的に住宅ローン控除と呼ばれる「住宅ローン減税制度」は、2021年で終了する予定でした。
しかし、2022年度の税制改正で適用年についての見直しが行われ、2022年~2025年の入居年であれば制度を利用できるように改正されています。住宅ローン控除の入居年にかかわる適用期限が4年間延長された形です。
例として、2025年に新築の長期優良住宅に入居した人は、2038年まで住宅ローン控除を受けられます。住宅ローン減税制度の期間延長が行われた点は、これから住宅購入を考える人にとって一つの安心材料と言えるでしょう。
2-2.(2)住宅ローン控除率の引き下げ
住宅ローン控除率は従来の1%から、2022年度の税制改正後は0.7%に引き下げられました。住宅ローン控除率の引き下げは「新築住宅・買取再販」「中古住宅」共通であり、一律0.7%です。
例として、2022年に新築の長期優良住宅に入居し、年末の住宅ローン残高が5,000万円だった場合は、下記の計算式で住宅ローン控除額を算出します。
5,000万円×0.7%=35万円
上記の例では、住宅ローン控除額の35万円が、納めた所得税(控除額に足りない場合は住民税の一部も含む)から還付されます。
2-3.(3)借入上限額の引き下げ
住宅ローン控除は、控除を適用できる借入上限額が設定されています。住宅ローン借入額のうち、借入上限額を超える金額分については控除が適用されません。
2022年度の税制改正では、住宅ローン控除の借入上限額の調整および引き下げが行われました。住宅の環境性能ごとに借入上限額の差が設けられ、新築住宅・買取再販では入居年が後になると借入上限額の引き下げがされる仕組みとなっています。
具体的な住宅ローン控除の借入上限額は、下記表の通りです。
入居年による借入上限額の違い | |||||
---|---|---|---|---|---|
2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | ||
新築住宅・買取再販 | 認定住宅 | 5,000万円 | 4,500万円 | ||
ZEH水準省エネ住宅 | 4,500万円 | 3,500万円 | |||
省エネ基準適合住宅 | 4,000万円 | 3,000万円 | |||
その他の住宅 | 3,000万円 |
0円 (2023年までに新築の建築確認がされた場合は2,000万円) |
|||
中古住宅 |
認定住宅 ZEH水準省エネ住宅 省エネ基準適合住宅 |
3,000万円 | |||
その他の住宅 | 2,000万円 |
例として、新築の長期優良住宅へ2023年に入居すると、住宅ローン控除が適用される借入上限額は5,000万円です。しかし、同じ住宅条件であっても入居が2024年になると、借入上限額は4,500万円に引き下げられます。
2-4.(4)利用者の所得要件の引き下げ
住宅ローン控除には所得要件が存在し、制度利用者の所得上限が設定されています。2021年までは住宅ローン控除の所得上限が3,000万円だったのに対し、2022年度の税制改正では所得上限が2,000万円に引き下げられました。
2,000万円の所得上限とは、年間の合計所得額が2,000万円以下である場合に、住宅ローン控除を利用できることを意味します。年間の合計所得額が2,000万円を超えると、その年は住宅ローン控除を利用できません。
2-5.(5)新築住宅の床面積要件の緩和
新築住宅の床面積要件は、従来の50平米から40平米へと条件付きでの緩和がなされました。2022年度の税制改正においても、いくつかの条件付きではあるものの、新築住宅の床面積要件は40平米への緩和が継続されています。
新築住宅の床面積要件が40平米に緩和される条件は、下記の3つを全て満たすことです。
- 新築住宅である
- 2023年までに建築確認がされている
- 1,000万円以下の所得要件に該当する
条件を満たせない場合、床面積要件は50平米となります。
2-6.(6)中古住宅の築年数要件の緩和
中古住宅の築年数要件は、1982年以降に建築された住宅(新耐震基準適合住宅)へと緩和がなされています。
以前の中古住宅の築年数要件は耐火住宅が築25年以内、非耐火住宅は20年以内であり、要件を超える築年数の住宅では耐震基準を満たす証明書の提出が必要でした。
築年数要件が大きく緩和されたことで、1982年以降の住宅であれば耐震基準を満たす証明書の提出が不要です。
3.新築住宅・中古住宅による住宅ローン控除額の違い
最後に、新築住宅・中古住宅による住宅ローン控除額の違いを一覧表で紹介します。
2022年~2023年入居 | 2024年~2025年入居 | ||||
---|---|---|---|---|---|
控除期間 | 期間中の最大控除額 | 控除期間 | 期間中の最大控除額 | ||
新築住宅・買取再販 | 認定住宅 | 13年 | 455万円 | 13年 | 409.5万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 409.5万円 | 318.5万円 | |||
省エネ基準適合住宅 | 364万円 | 273万円 | |||
その他の住宅 | 273万円 | 10年 |
140万円 (2023年までに新築の場合) |
||
中古住宅 |
認定住宅 ZEH水準省エネ住宅 省エネ基準適合住宅 |
10年 | 210万円 | 10年 | 210万円 |
その他の住宅 | 140万円 | 140万円 |
2022年の税制改正は「改悪」と評価されるケースがあるものの、中間所得層や省エネ性能の高い住宅を購入する人にとっては「改善」となるケースもあります。
住宅ローン控除によるメリットを最大限受けるためには、税制改正について知識のある業者に相談した上で家を建てることがおすすめです。
まとめ
2022年度の税制改正によって、新築住宅における住宅ローン控除の控除期間は原則13年になりました。控除率や借入上限額は引き下げが行われたものの、省エネ性能の高い家を購入するケースではメリットを受けやすい制度となっています。
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