戸建住宅の解体費用相場は?金額を左右する要素・抑えるポイント

2021.7.302023.9.12
家づくりがwakaru
戸建住宅の解体費用相場は?金額を左右する要素・抑えるポイント

戸建住宅の建て替えを検討するなかで、解体にかかる費用がいくらか気になった方も多いのではないでしょうか。解体費用の相場を左右する要素は複数あるため、事前に把握しておくことが費用を抑えるために有用です。

今回の記事では、戸建て住宅の解体費用相場や内訳、解体費用を抑えるためのポイント、解体の基本的な流れについて解説します。できるだけ安く戸建住宅を解体し、費用を抑えて建て替えをしたい方は、ぜひ参考にしてください。

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1.【構造別】戸建住宅の解体費用相場

【構造別】戸建住宅の解体費用相場

戸建て住宅を解体する際にかかる費用は、住宅の構造によって異なります。解体費用の相場は次の通りです。

構造 坪単価 30坪の住宅解体費用例
木造住宅 3万~5万円 100万~160万円
軽量鉄骨造住宅 5万~7万円 150万~220万円
鉄筋コンクリート造(RC造)住宅 6万~8万円 190万~250万円

木造住宅は住宅に使用されている素材が柔らかく解体が容易なため、解体費用の坪単価が安くなります。軽量鉄骨や鉄筋コンクリートなど、頑丈で解体が難しい住宅は解体費用が高くなるのが一般的です。

また、解体時に出た廃棄物を分別する手間が増えると、より多くのリサイクル費用がかかります。分別方法について定めたリサイクル法は年々厳しくなっており、解体費用が高くなる傾向です。

1-1.解体費用の内訳

解体費用の内訳として、次のような項目が挙げられます。

■仮設工事費用
仮設工事費用とは、解体作業に使用する足場を組んだり、現場の周辺をシートで囲ったりするための費用です。近隣の住宅に対して、騒音や砂埃による迷惑をかけないために仮設工事が必要となります。

■アスベスト調査・工事費用
アスベストとは、かつて住宅の素材として使用されていた物質です。人体に対して有毒であることが判明し、現在は法律によって仕様が禁止されています。古い住宅にはアスベストが残っている可能性があるため、解体工事を行う前に調査が必要です。また、アスベストが使われていた場合には、除去工事を行うための費用がかかります。

■解体工事費用

  • ●住宅の解体費用
  • ●住宅以外の解体費用
  • ●解体時に使用する機材費用

解体工事費用には、住宅を解体する費用以外に、塀や庭木、物置小屋などを解体する費用も含まれることが一般的です。また、解体時に使用する重機のリース費用や、重機を扱うスタッフの人件費などもかかります。住宅部分以外の解体費用は、「付帯工事費用」として解体工事費用と区別されているケースも一般的です。

■廃棄物処理費用
解体作業を行った際は木くずや石、コンクリート、ガラスなどさまざまな廃棄物が発生します。解体時の廃棄物を分別し、処理するための費用が廃棄物処理費用です。

■整地費用
整地とは、住宅を解体したあとに土地を平らな状態に整えることを表します。解体した住宅に地下階があった場合は、空洞を埋めるためにより高い整地費用がかかる傾向です。また、地中に埋没物がある場合も整地費用が高くなります。

■諸費用

  • ●官公庁への手続き費用
  • ●駐車費用
  • ●営業経費
  • ●事務管理費

諸費用とは、解体工事を行うにあたって発生する細かな費用のことです。官公庁で手続きをする際に必要な費用や、工事車両の駐車費用、近隣への挨拶にかかる人件費などが含まれます。

2.解体費用額を左右する主な要素3つ

解体費用額を左右する主な要素3つ

住宅の構造によって解体費用の相場はある程度見えてくるものの、実際は住宅のあらゆる状況によって金額が大きく異なるのが一般的です。同じ構造であったとしても、建物の面積や立地条件などによって解体費用は変化します。

解体費用額を左右する主なポイントは次の3つです。

  • ●建物の構造と面積
  • ●運搬・処理する廃棄物の量
  • ●立地条件

2-1.(1)建物の構造と面積

建物の骨組みに使用されている素材のほか、階数や面積によっても解体費用が異なります。

一般的に、建物に使用されている素材と坪数が同じ場合、平屋のほうが2階建てよりも解体費用が高くなる傾向です。同じ坪数の住宅では、平屋のほうが基礎部分や屋根の面積が大きくなるため、2階建てよりも解体費用が割高になるからです。

また、地下階がある建物の解体には特殊な重機が必要です。そのため、一般的な住宅と比べて解体費用が高くなる可能性があります。

2-2.(2)運搬・処理する廃棄物の量

運搬・処理する廃棄物の量が多いほど、解体費用が高くなります。特に、コンクリートを多用している場合は廃棄物の重量が増えるため、比例してより高い解体費用がかかるでしょう。

建物の構造や階数が同じであっても、部屋数が多い住宅は壁の総量が増えるため、廃棄物が多く出るのが一般的です。また、塀に使用しているブロックの高さや門扉の素材、庭に生えている植栽などによっても、廃棄物の量が異なります。

庭や駐車スペースをコンクリートで舗装している場合は、砂利や芝生を利用している場合よりも廃棄物の量が増える傾向です。

2-3.(3)立地条件

解体する住宅がどのような場所にあるかによっても、解体費用が異なります。解体費用が高くなる可能性のある立地の例は、次の通りです。

■近接する建物がある場合
解体する住宅と周囲の建物が近接していると、通常よりも調査の手間が増える可能性があります。また、重機を使えない場合は手作業による解体となり、費用が高くなります。

■歩道の切り下げ工事が必要な場合
解体する住宅の敷地と歩道に段差があると、解体業者の車両が現場に入ることができません。そのため、段差を解消する切り下げ工事や復旧工事が発生し、費用が高くなる場合があります。

■静かな住宅街の場合
静かな住宅街にある住宅を解体する際は、防音対策のために費用がかかる傾向です。騒音規制法で定められた基準に従って、解体中に発生する音や振動を抑える必要があります。

3.解体費用を抑えるためのポイント3つ

解体費用を抑えるためのポイント3つ

住宅の解体工事を依頼する際に、費用をできる限り抑えるためのポイントは次の3つです。

■不用品はなるべく自分たちで処分しておく
家具や大きな家電製品、庭の雑草などは可能な限り処分したうえで解体工事を依頼しましょう。不用品が残っている状態では、廃棄処分にかかる費用が高くなってしまう場合があります。

■補助金を活用する
自治体によっては、住宅を解体する際に補助金を活用することが可能です。解体工事にかかる費用の一部を補助金でまかなうと、数十万円分の節約となるケースがあります。

■解体業者をしっかり選ぶ
住宅の解体費用は業者によって異なるため、信頼できる業者を選ぶことが大切です。注文住宅の施工を行う会社は解体についての知識も持っている場合が多く、信頼できる解体業者を見つけられる可能性があります。

4.解体の基本的な流れ|見積もりから整地まで

住宅の解体を依頼する前に、基本的な流れを理解しておくとスムーズな取引が可能です。見積もり依頼から整地までの流れを以下に紹介します。

(1)見積もりの依頼 解体業者に見積もりを依頼し、必要な情報を連絡。現地調査の日程を調整。
(2)現地調査・見積もり 解体業者に現地を調査してもらい、見積もりを受け取る。
(3)業者の決定 実際に解体を依頼する業者を決定し、申し込みを行う。
(4)近隣への挨拶 解体工事が始まる前に、現場の近隣住民に挨拶を済ませる。
(5)仮設工事 解体工事に必要な設備を整える。
(6)解体工事 住居本体や周辺物の解体工事を実施する。
(7)廃棄物の処分 解体工事で生じた木くずやコンクリートなどの廃棄物を処分する。
(8)地中埋没物の確認・整地 地中に残っている埋没物の有無を確認したあと、整地する。

仮設工事から整地までをスムーズに行うためには、業者選びが重要です。そのため、見積もりから契約までの工程を慎重に行うのがポイントです。

まとめ

戸建住宅の解体費用相場は、構造によって異なります。廃棄物の量や立地条件によっても解体費用が変化し、解体費用を抑えるためには不用品の処分や補助金の活用も大切です。

また、解体をスムーズに終わらせるためには、業者選びを慎重に行いましょう。信頼できない業者を選んでしまうことで、無駄に高い費用がかかったり、解体が長引いたりする可能性があります。

戸建住宅を解体する際は、住居本体や周辺の解体にかかる費用だけでなく、廃棄物の処理費用や整地費用なども必要です。できる限り費用を抑え、解体工事をスムーズに済ませるために、信頼できる業者を選定しましょう。