こどもみらい住宅支援事業とは?各対象事業の詳細をわかりやすく解説

2022.5.182023.12.26
お金のことがwakaru
こどもみらい住宅支援事業とは?各対象事業の詳細をわかりやすく解説

結婚や出産・育児を機に、住宅を購入することを考えている子育て世帯・若者夫婦世帯も多いでしょう。住宅は一生のうちで最も高い買い物の1つであるため、さまざまな制度を活用してなるべくお得に住宅を取得できるよう、利用できる制度を事前に調べておくことが大切です。

当記事では、子育て世帯や若者夫婦世帯が住宅を購入する場合に活用できる「こどもみらい住宅支援事業」の概要と、各事業の対象要件・補助額・期間について解説します。こどもみらい住宅支援事業に関して多くの人が感じる疑問とその答えも併せて確認し、早い段階での住宅購入を積極的に考え始めましょう。

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1.こどもみらい住宅支援事業とは?

こどもみらい住宅支援事業とは?

「こどもみらい住宅支援事業」とは、高い省エネ性能をもつ新築住宅を購入する子育て世帯・若者夫婦世帯を補助するための制度です。子育て支援や環境保護(2050年カーボンニュートラル)の観点から、国土交通省によって2021年に創設が決まり、2022年3月に補助金の交付申請受付が開始されました。

こどもみらい住宅支援事業の補助対象は、主に「新築住宅の新築」または「新築分譲住宅の購入」を行う子育て世帯や若者夫婦世帯です。

■「こどもみらい住宅支援事業」における子育て世帯・若者夫婦世帯とは

子育て世帯 申請時点で18歳以下の子供がいる世帯
(2003年4月2日以降に生まれた子がいる世帯)
若者夫婦世帯 申請時点で夫婦であり、どちらか一方が40歳未満の世帯
(夫婦のどちらか一方が1981年4月2日以降に生まれている世帯)

また、事業の対象となる住宅は以下の条件をすべて満たした住宅となります。

■「こどもみらい住宅支援事業」の対象となる住宅の条件

  • 所有者自身が住むために取得した住宅である(リフォームは除く)
  • 一定の省エネ性能をもつ
  • 延べ面積が50平方メートル以上である
  • 土砂災害特別警戒区域以外にある住宅である(例外もあり)

なお、自身の所有する住宅を省エネ化するためのリフォームを行う場合は、子育て世帯や若者夫婦世帯に限らず、全世帯が「こどもみらい住宅支援事業」を利用することが可能です。

また、市街化調整区域などの立地に住宅を建築する場合、行政庁の判断により長期優良住宅の認定をおこなわないケースもあるので注意しましょう。

出典:国土交通省 こどもみらい住宅支援事業事務局「こどもみらい住宅支援事業

2.【こどもみらい住宅支援事業】各事業の対象要件・補助額・期間まとめ

こどもみらい住宅支援事業の補助を受けるためには、「注文住宅の新築」「新築分譲住宅の購入」「リフォーム」の各事業における具体的な対象要件を満たす必要があります。

それでは、それぞれの事業の補助対象となるためにはどのような要件をクリアすればよいのでしょうか。各事業の補助額や手続き期間、各事業におけるポイントも併せて確認しましょう。

2-1.注文住宅の新築

子育て世帯・若者夫婦世帯が「こどもみらい住宅事業者」と契約し、省エネ性能の高い注文住宅を新築する場合、住宅の省エネ性能などに応じた金額の補助金を受け取れます。

対象要件 【対象者】
「子育て世帯」「若者夫婦世帯」のいずれかに該当し、こどもみらい住宅事業者と工事請負契約を結んで住宅を新築する人。

【対象となる住宅】
ZEH住宅
省エネ性能などが高い住宅(認定長期優良住宅など)
一定の省エネ性能をもつ住宅(「断熱等性能等級4」「一次エネルギー消費量等級4」の両方を満たす住宅)
補助額 ZEH住宅:100万円
省エネ性能などが高い住宅:80万円
一定の省エネ性能をもつ住宅:60万円
※2022年6月30日までに工事請負契約を締結したものに限る
手続き期間 交付申請の予約:2023年2月28日まで
交付申請:2023年3月31日まで
完了報告:戸建住宅の場合は交付決定から2023年10月31日まで

こどもみらい住宅支援事業の補助金を受給した場合、受給後10年間は国や事務局の了承なく対象となった住宅を処分できない点に注意が必要です。他人への譲渡や貸付、取り壊しなど、財産処分に関する制限を受けることに留意しましょう。また、基礎工事を交付申請までに完了させる必要があることも押さえておく必要があります。

参考:「こどもみらい住宅支援事業」とは?対象の条件と補助額を徹底解説

2-2.新築分譲住宅の購入

子育て世帯や若者夫婦世帯が、こどもみらい住宅事業者から省エネ性能などが高い新築分譲住宅を購入する場合も、購入する住宅の省エネ性能などに応じた金額を受給できます。

対象要件 【対象者】
「子育て世帯」「若者夫婦世帯」のいずれかに該当し、こどもみらい住宅事業者と不動産売買契約を結んで新築分譲住宅を取得する人。

【対象となる住宅】
ZEH住宅
省エネ性能などが高い住宅(認定長期優良住宅など)
一定の省エネ性能をもつ住宅(「断熱等性能等級4」「一次エネルギー消費量等級4」の両方を満たす住宅)
補助額 ZEH住宅:100万円
省エネ性能などが高い住宅:80万円
一定の省エネ性能をもつ住宅:60万円
※2022年6月30日までに不動産売買契約を締結したものに限る
手続き期間 交付申請の予約:2023年2月28日まで
交付申請:2023年3月31日まで
完了報告:戸建住宅の場合は交付決定から2023年10月31日まで

新築分譲住宅には、「建築が完了している住宅」「建築予定・建築中の住宅」があります。不動産売買契約の期間はいずれも「交付申請(2023年3月31日)まで」ですが、基礎工事の完了も同様であるため、未完成の住宅を購入する場合は特に注意が必要です。また、注文住宅の新築と同様に財産処分の制限を受けることを把握しておきましょう。

2-3.リフォーム

既存の住宅に事業の対象となるリフォーム工事を行う場合、子育て世帯や若者夫婦世帯以外の世帯もこどもみらい住宅支援事業を活用することが可能です。部分的な設備変更・修繕といったリフォームだけでなく、新築時よりも住宅性能・住宅価値を高められるリノベーションも対象となります。

対象要件 【対象者】
こどもみらい住宅事業者と工事請負契約などを結んでリフォーム工事やリノベーション工事を行う人。

【対象となる工事(補助額が合計5万円以上となる場合に対象)】
■(1)〜(3):いずれか必須
(1)開口部の断熱改修
(2)外壁や屋根、天井、床などの断熱改修
(3)エコ住宅設備の設置
■(4)〜(8):(1)〜(3)のいずれかを一緒に行う場合のみ
(4)子育てに対応する改修
(5)耐震のための改修
(6)バリアフリー化するための改修
(7)空気清浄・換気の機能が備わったエアコンの設置
(8)リフォーム瑕疵(かし)保険などへの加入
補助額 上限30万円/戸(条件によっては上限額が引き上げられる)
手続き期間 交付申請の予約:2023年2月28日まで
交付申請:交付申請まで
完了報告:2023年3月31日まで

子育て世帯または若者夫婦世帯の場合、既存住宅を購入すると60万円/戸、すでに所有する住宅の場合は45万円/戸まで上限が引き上げられます。また、それ以外の一般世帯でも、「安心R住宅」に該当する既存住宅を購入すれば45万円/戸まで上限が引き上げられることを押さえておきましょう。

3.【Q&A】こどもみらい住宅支援事業に関するよくある質問

【Q&A】こどもみらい住宅支援事業に関するよくある質問

こどもみらい住宅支援事業は、条件面などで複雑な部分もあるため、「事業についてわからないところがある」と感じている人も多いでしょう。

ここでは、こどもみらい住宅支援事業に関するよくある質問を3つ紹介します。多くの人が感じる疑問を中心に不明な点や不安な点を解消し、お得に住宅を購入できる機会を逃さないようにしましょう。

●申請手続きはどのように行う?

申請手続きは「こどもみらい住宅事業者」が行うため、一般消費者(施主)は申請者とはなりません。住宅の新築・購入・リフォームを行う際には、工事の施工業者や不動産売買を行う事業者が「こどもみらい住宅事業者」への登録を完了しているか確認しておきましょう。

また、こどもみらい住宅支援事業においては、「共同実施規約」の締結が必要です。施主の署名・捺印も必要であるため、必ず確認してください。

●他の補助金制度と併用することはできる?

補助対象が重なっている他の補助金制度と併用することはできません。ただし、「すまい給付金」「住まいの復興給付金」「外構部の木質化対策支援事業」のように、国費が充当されていない地方自治体の補助金制度は併用可能です。

●若者夫婦世帯と子育て世帯のいずれにも該当する場合、補助金は加算されますか?

こどもみらい住宅支援事業の対象は、「若者夫婦世帯『または』子育て世帯」であるため、どちらにも該当する場合でも補助金は加算されません。

出典:国土交通省 こどもみらい住宅支援事業事務局「こどもみらい住宅支援事業

まとめ

こどもみらい住宅支援事業とは、子育て世帯や若者夫婦世帯を中心に、高性能省エネ住宅の新築・購入や省エネ化のためのリフォームなどを補助する制度を指します。注文住宅を新築する場合は最大で100万円の補助金を受け取れるなど、非常にお得な制度であるため、住宅購入を検討している人はぜひ活用してください。

こどもみらい住宅支援事業は、交付申請期間が2023年3月31日までと利用できる期間が限定されています。予算額に達した場合はその時点で事業も終了となる可能性があるため、早めの住宅購入・事業の活用を検討しましょう。